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2007年1月31日 (水)

デザイアと呼ばれた男     VOL 19

          9

 俺は世田谷公園内の坂道を自転車で登っていた。

後ろを振り返るとヒデの姿はない。

そこには闇が広がっているだけだった。

どうやら撒いたようだ。

しかし、油断はできない。

 ヒデは鬼頭の仲間だということが明らかになった。

恐らく鬼頭が〝デザイア〟を捜し出す為に差し向けた刺客だろう。

ヒデが俺のことを〝デザイア〟とめぼしをつけたのは、「ワールド」から出てくる俺を見て勝手に思い込んだに過ぎない。

恐らく鬼頭は〝デザイア〟を捜す手がかりとして「ワールド」の従業員の情報を仲間たちに流したに違いない。

ということは、マユミや他のみんなにも鬼頭の仲間の魔の手が伸びるかもしれないということを予感させた。

 俺は行方不明になっていたアカイやバイト時間を過ぎても出勤してこないノジリのことを思い出した。

もしかしたらあいつらの元にも鬼頭の仲間がやってきたかもしれない。

俺はマユミの安否が気になり、携帯を取り出し、マユミに電話を掛けた。

俺は自転車にまたがったまま耳元の呼び出し音を聞いていた。

「はい、もしもし……」

俺はマユミのいつも通りの声を聞いて安心した。

「あ、いや、何か急に声が聞きたくなっちゃってさ……」

「……変なの」

その時、携帯を持っていた右手がフッと軽くなった。

俺の視線の先には携帯を奪い取ったヒデが不適な笑みを浮かべながら立っていた。

「このやろう。返しやがれ」

俺の言葉を聞くとヒデは条件反射のように携帯の電源を切った。

「これを返してほしかったら着いて来い」

そう言うとヒデは携帯を持ったまま丘へ続く階段を駆け上がって行った。

俺はすぐにヒデの後を追わず、冷静に考えてみた。

このまま携帯を捨てて逃げてしまおうか?

ヒデは鬼頭の仲間だし、かかわらない方が身のためだ。

だめだ。

あの携帯の中にはマユミや國無からのメールが残っている。

ヒデはあの通りバカだが、鬼頭にあれが渡れば〝デザイア〟の正体がばれる恐れがある。

仕方ない、行くか。

俺は自転車を停め、夜の丘へ続く階段を上って行った。

 丘の上に着くとそこにヒデの姿は無かった。

小さな外灯の明かりが点いていたがそれ以外は闇に包まれていた。

丘の頂上は見晴台になっていて、周りは植え込みで囲まれている。

 俺は警戒しながら、ゆっくりと歩いていた。

丘の裏側にも階段があり、反対からも降りられるようになっている。

ヒデはここから下に降りたのだろうか?

反対側の階段以外にも植え込みの中に入れば下に降りることも身を隠すこともできる。

ヒデは確実に俺の様子を伺いながら攻撃のチャンスを狙っているに違いない。

俺は耳を研ぎ澄ませ集中した。

闇の中を風に揺れた木々の音や虫や小動物の鳴き声が聞こえてくる。

俺はこんな時に暗視ゴーグルがあればどんなに楽かと思った。

〝デザイア〟に変身することは姿を変えるだけではなく、確実に戦闘能力を上げることを意味していた。

その変身用具を俺はまったく持っていなかった。

もちろん普段から〝デザイア変身セット〟を持ち歩いてはいなかった。

うかつに持ち歩けばそれだけ正体がばれる恐れがある。

「ワールド」に行く時はなおさら気をつけなければならなかった。

 それでも、今は國無が与えてくれたあの道具がどれほど頼りになるか身をもって分かった。

今、この場で頼れるのは自分の力だけだ。

あらゆる状況を考えろ。

自分の選択一つで運命が決まる。

これは紛れも無く命を賭けた真剣勝負だった。

 その時、ガサッという音がして植え込みの中から何かが飛んできた。

俺は音がした方を見たがヒデの姿はなかった。

 俺は足元に転がっている今飛んできた物体に顔を近づけて見てみた。

「うわぁぁぁ」

俺は思わず叫び、後ずさりしてしまった。

俺の足元に転がっていたのは血まみれになった猫の死骸だった。

俺に恐怖を与える為にヒデが野良猫を殺し、投げつけたのだ。

間髪入れずに今度は木の上から鳩の死骸が降ってきた。

俺がギョッとなって身をかわした瞬間、どこからともなくヒデが猛スピードで突進してきて、俺の腹を殴りつけ、再び闇の中に消えていった。

その動きはすでに人間の速さではなかった。

まるで野生動物を相手にしているような感じだった。

「どうだ。すごいだろう。俺は子供の頃からここで遊びまわっていたからお前が適うはずないんだ」

どこからともなくヒデの声が鳴り響いたかと思うと、再びヒデは姿を現し、俺に攻撃してきた。

攻撃しては身を潜め、言葉や動物の死骸で威嚇してはまた攻撃して姿を消す。

俺はヒデのペースにはまり、好きなように弄ばれるように徐々に命をそぎ落とされていた。

「おい、何で俺を攻撃するんだ。俺は鬼頭の友達だって言っただろう。俺とお前は仲間じゃないか」

俺は何とか形勢を逆転しようとハッタリをかました。

「黙れ。俺はお前が嫌いだ。鬼頭の友達だろうが俺の友達じゃない。だから関係ないんだ。お前を殺して〝デザイア〟としてみんなに俺のすごさを証明するんだ」

ヒデは完全に狂っている。

 またしてもヒデが猛スピードで攻撃してきたが、今度はさっきまでとは違っていた。

ヒデはナイフを持って俺に切りかかってきたのだ。

ナイフは俺の左肩の下を切り裂いた。

ヒデはそれでも堂々と姿を見せることはなく、闇の中に身を潜め、肉食動物が獲物を狙うようにジリジリと詰め寄ってくるスタイルを崩さなかった。

悲鳴のような動物の鳴き声がしたと思うと今度はカラスの死骸が俺の足元に投げつけられてきた。

「どうだ、怖いか?俺は死体を見るとムラムラするんだ。生き物が死ぬ瞬間に最高の快感が得られるんだ。死体にザーメンをかけるのが最高さ。だけど今は我慢してるんだ。お前の死体にたっぷりかけてやる為にさ」

俺はヒデの言葉に恐怖を感じた。

ヒデの言葉がたんなるハッタリや脅し文句でないことが分かったからだ。

恐らくヒデはこれまでに殺人を犯したことがあるだろう。

それはまだ俺が体験したことのない未知のゾーンだった。

人を殺した経験を持つ人間は一般の人間とは別種類だと思う。

その一線を越えてしまったら人間ではなくなってしまうような気がした。

俺がヒデに感じたこれまで出会った敵とまったく違った違和感を持ったのは恐らくそのせいだろう。

ヒデは俺とは別次元の生き物だ。

そんな奴を相手にできるはずがない。

そんなことを考えている間にもヒデは俺のわき腹と太ももを切り裂いていった。

 俺はここで死ぬのか?

……嫌だ。

俺はまだ何も手に入れてない。

マユミと付き合いだしたといっても、まだ何も手にしていない。

まだまだ満足していない。

俺はレイプ以外のセックスでイッたことがない。

そんな状態で死ぬことができるか。

俺にはまだまだ遣り残したことがたくさんある。

それを手に入れるまでは死ぬわけにはいかない。

例え相手が殺人鬼であったとしても関係ない。

あいつは死体を見て絶頂すると言うが俺は絶頂することができない。

その怒りが俺に生きる希望をみなぎらせた。

 俺は國無由自の言葉を思い出した。

「命を賭けたギリギリの駆け引きの中で勝利するのは欲望の大きさで決まる。より多くの絶望を知り、尚且つ巨大な欲望を見出せる者が勝つ」

俺はまだイッてない。

こんなところで死ぬわけにはいかない。

 その時、奇跡が起こった。

闇の中で突然「ラストスマイル」のメロディーが聞こえてきたのだ。

それは俺の携帯の着メロだった。

ヒデは俺の携帯を奪い取った。

それは俺をおびき寄せる為にとった行動だったが、それが逆にアダとなったのだ。

しかも「ラストスマイル」はマユミからの着信にだけ鳴るようにセットされていた。

マユミが俺にチャンスをくれたのだ。

俺は「ラストスマイル」の鳴る方に猛スピードで突進して行った。

ヒデは突然の着信に驚き、音の消し方が分からなかったようであたふたと戸惑っていた。

そして、ヒデが突進してきた俺に気づいた時は既に遅かった。

俺は茂みの中に身を隠すヒデに飛び蹴りを喰らわせると、今までの借りを返すよう一気に殴り続けた。

ヒデは茂みの中にナイフを落とし、それに気をとられまったく反撃出来なかった。

ヒデは俺に顎を蹴られ、意識を失った。

極限状態を超えた俺はそれでも攻撃を止めなかった。

倒れているヒデの顔面を何度も足でおもいっきり踏みつけ、服を毟り取り裸にすると、ヒデのアナルに自分のペニスを突っ込んだ。

俺の中で、何かが切れていた。

未だにセックスでイッたことのない怒りを俺は全てヒデにぶちまけた。

俺は激しく腰を動かし、突いて突いて突きまくった。

ヒデは白目をむき、口から泡を吐いていた。

俺はイク寸前にペニスを抜き、ヒデの顔面にザーメンをたっぷりとかけてやった。

「どうだ、俺の勝ちだ」

そう言うと俺はヒデの横に落ちていた携帯を拾い上げた。

携帯は泥で汚れていたが壊れていなかった。

液晶画面には「不在着信 マユミ」の文字が映し出されていた。

俺はマユミに心から感謝し、丘の上のベンチに腰を下ろし電話を掛けた。

10

 俺の耳元で携帯の呼び出し音が鳴り続けていた。

しかし、いつまで経ってもマユミは電話を取らなかった。

たった数分前に掛けてくれたのにどうしたんだ?

これがただのすれ違いなのか、それともマユミの身に何かあったのか?

俺はマユミに「今、どこにいる?」というメールを出した後、もう一度電話を掛けたが、やはり繋がることはなかった。

 俺はマユミのことが心配で堪らなかった。

今日は何かがおかしい。

いつもと違う違和感が支配している。

 ヒデのように鬼頭の仲間が何人いるのか知らないが、マユミにも被害が及ぶ可能性がある。

 携帯の液晶画面は21時36分を刻んでいる。

今の時間なら家にいる可能性が高いかもしれない。

 俺はマユミの家に向かおうとして、倒れているヒデに目を向けた。

ヒデから情報を聞き出そうとも考えたが、ヒデの性格上、聞き出すのに時間がかかりそうだし、素直に話すとは思えない。

それならこれ以上、鬼頭の仲間を野放しにしておく理由はなかった。

予想される危険は早いうちに根絶やしにしておいたほうがいい。

俺は110番をプッシュした。

「もしもし、世田谷公園の丘の上で下半身をまるだしにした変質者が動物を殺して暴れています。すぐ来てください」

そう言って俺は携帯を切った。

これでヒデはブタ箱行きだ。

俺は一気に石段を駆け下り、自転車にまたがるとマユミの家に向かった。

 その頃、マユミは行きつけのバーで一人で飲んでいた。

マユミの前には飲みかけのテキーラのグラスがあった。

マユミは一気に残っていたテキーラを飲み干すと、バーテンに同じものを注文した。

バーテンはすぐに新しいテキーラをマユミの前に差し出した。

これで今日3倍目のテキーラだった。

 マユミは最近ずっと凛一郎との関係について悩んでいた。

凛一郎と付き合い始めてマユミの気持ちは徐々に大きくなっていった。

しかし、それに伴い凛一郎が自分とのセックスで絶頂しないことにマユミは不安を感じていた。

凛一郎が絶頂しないのは自分に魅力が無いからだとマユミは思っていた。

そうでなければ二人の〝性の不一致〟はこれから将来を築いていく関係を作るうえで致命的な問題だと思っていた。

何とか二人でこの問題を解決したいと思っていたが、どうすればいいのか分からなかった。

 マユミは数分前に掛けた電話に凛一郎が出なかったことに苛立ちを感じていた。

それ以来、マユミは自分の携帯をマナーモードにして鞄の奥に突っ込んでいた為、凛一郎からの着信にも気づかなかった。

マユミはこのまま凛一郎との関係がうやむやになり、気持ちが離れてしまうことを恐れていた。

そして、心の片隅にはいまだに謎の男〝デザイア〟への想いも消えていなかった。

そして、死んだ元彼 マサキのこともいまだに忘れることはできなかった。

身近にいてやさしくしてくれる凛一郎のことは確かに好きだったが、〝デザイア〟やマサキに感じたドキドキ感が凛一郎には欠けているように思えた。

あの胸の高鳴りをマユミは凛一郎に求めていた。

 それと同時にマユミはとても不安だった。

父が突然自殺し、心が不安定だった。

そんな気持ちを誰かに包み込んでもらいたかった。

それを望むには、凛一郎は精神的にあまりにも幼すぎた。

マユミは無意識のうちにもっと年上の大人の男を必要としていた。

 マユミがふと気が付くと、カウンターの隣の席にスーツ姿の中年の男が座っていた。

中年の男は一人で独特の渋みをかもし出しながら、グラスの中のウイスキーを飲み、タバコを吹かしていた。

「……カッコいい」

マユミは無意識に呟いていた。

「飲みすぎだよお嬢さん。何杯目だい?」

中年の男は冗談めかしく言った。

「まだ三倍目。大丈夫、全然酔ってないから」

「すいません、チェイサーを一つ」

中年の男はバーテンに言って出てきたチェイサーをマユミに差し出した。

「一杯おごるよ」

マユミは笑いながら水を一口飲み、中年の男に話しかけた。

「おじさんおもしろいね。何て名前のおじさん?」

「城 敏明です。ここらじゃ〝遊び人のジョー〟で通ってるんだよ」

「遊び人?そうは見えないけどね。ジョーはどんな遊びするのかな?」

「……そうだな、旅をして詩を書くのが好きだな。僕は旅人で詩人なんだ」

「あははは。何それおかしい。相当やられちゃってるね。ねえ、何か言ってみてよ。ジョーの詩聞いてみたいな」

「今度二人っきりの時にね。僕は人前では詩は語らないんだ。これでもすごくシャイでね。今まで書いた詩だったら今度見せてあげてもいいけどね」

「ねえ、今まで書いた詩ってどこにあるの?ジョーのうち?」

「秘密の隠れ家に展示してあるんだ」

「今からそこに連れてってよ。ジョーの詩が見たいの」

「……やれやれ、困ったもんだな。よし、じゃあ、ちょっとだけだよ」

「うん、ありがと」

ジョーはマユミの分も一緒に会計を済ませ、二人はバーを後にした。

 「ここだよ」

ジョーの隠れ家は高級住宅街の一角にあった。

 マユミはジョーに続いて地下へ続く階段を下りていった。

マユミはまったく気にしていなかったがここは携帯の電波も遮断されていた。

物々しい分厚い扉の奥には、巨大なベッドが中央に置かれた寝室になっていた。

そして壁にはジョーが書いた詩が一面に貼られていた。

 マユミは壁に駆け寄り、ジョーが書いた詩を見つめていた。

ジョーはその後ろからシャンパンの入ったグラスを持って近づいた。

「詩人って本当だったんだね」

「そうさ。僕は君に嘘はつかないよ」

ジョーはマユミにグラスを手渡した。

「さあ、君をここに招待したからには僕の最新作の詩を直に披露しよう。それは口にするにはあまりにも卑猥な物語だ。ただし、これは誰にでも聞かせることのできるものではない。限られた一部の者だけが聞くことを許された禁断の果実なのだ」

マユミは微笑みながらグラスに入ったシャンパンに口をつけながら聞いていた。

「そこは薄暗い牢獄の中、無実の罪で囚われた可憐な一厘の赤いバラ。そのまだ開いていない蕾を無理やりこじ開けようとする罪深き看守の太い指が今、まさに迫ろうとしている。

バラは全てを理解した上で看守にその身を任せた……」

 そう囁くとジョーはマユミの唇にしっとキスした。

マユミはまったく抵抗することなく、ジョーを受け入れるように目を閉じた。

「……看守はバラの蕾を一枚一枚剥がしていった。しかし、気が付きと看守の手は真っ赤に染まっていた。バラは自らの意思とは関係なく、その研ぎ澄まされたトゲによって看守を傷つけていたのだ……」

 ジョーはマユミの服を一枚一枚脱がしていった。

マユミは魔法にかかったようにジョーにその身を任せていた。

バーを出た時点でマユミはいまある光景を頭の中で描いていた。

バーでジョーと出会った時、ジョーに抱かれてもいいと思った。

凛一郎との満たされない欲望を大人の男の魅力で包み込んで欲しかった。

凛一郎が途中で止めてしまうせいもあり、マユミは凛一郎とのセックスでまだ絶頂したことがなかったのだ。

そればかりか、いつも蛇の生殺しのようなやり場の無い欲求不満の状態が続いていた。

 ジョーはマユミの首すじにキスしながら、乳房を揉み解した。

ジョーの指先はまるで蛇のようにマユミの火照った身体を這いずり回り、快楽を与えた。

ここまでの流れはまさにマユミが思い描いていた通りの展開だった。

しかし、突然手を止めたジョーはマユミの予想していなかった行動に出たのだった。

 ジョーは壁に掛かっていた鞭を手に取り、マユミの白い肌を打ちつけた。

あまりの激痛にマユミは叫び声を上げた。

マユミの白い背中はみるみるうちに蚯蚓腫れになり、赤く染まっていった。

それでもジョーは手を休めることなくマユミの背中を鞭で打ち続けた。

マユミは泣きながら「やめて」と懇願したが、マユミのそんな表情を見てジョーはますます欲情し、力強く鞭を打ち続けた。

 しばらくするとジョーは手を止め、持っていた鞭をマユミに手渡してきた。

「さあ、これで私を打つんだ。僕も君と同じ痛みを味わいたい」

「……できないよ」

「できるさ。さあ、思いっきり打つんだ。そうすれば〝デザイア〟に会えるかもしれないぞ」

「え?」

 ジョーの口から出た〝デザイア〟という言葉にマユミは驚いた。

 ジョーはマユミのその表情の変化を見逃さなかった。

「さあ、思いっきり打つんだ。そして、〝デザイア〟を呼び寄せよう」

 ジョーの言葉に後押しされるようにマユミは鞭でジョーの背中を打った。

鞭は唸りを上げジョーの背中に喰らいついた。

その今まで味わったことのなかった感覚にマユミは驚きを隠せなかった。

「さあ、もっと打つんだ」

マユミは何度も何度もジョーの背中を鞭で打ち続けた。

「いいぞ。もっとだ。もっと打て!」

ジョーはマユミを駆り立てるように叫び続けた。

いつの間にかジョーの股間は破裂寸前まで膨れ上がっていた。

ジョーは鞭を振りかざしていたマユミを再びベッドに押し倒し、うつ伏せの状態にした。

そして、マユミのアナルにギンギンに膨れ上がったペニスを挿入しようとした。

「待って。後ろは嫌。前から入れて……」

「いいじゃないか。ここまできたらもう普通の仕方じゃつまらない。全てを僕に任せるんだ。未知の扉を開こう。二人で快楽の果てに行こう」

そう言って、ジョーはマユミのアナルにペニスを挿入した。

「……ああ」

マユミは高々に声を上げた。

ジョーはパンパンと音を立てながら、激しくピストンし、絶頂した。

ジョーが絶頂する直前にマユミも絶頂していた。

それは久しぶりに味わった快感だった。

 マユミはベッドの上で息を乱しながらしばらく動くことができずにいた。

そんなマユミの横でジョーはもぞもぞと動いていた。

マユミが横目でジョーを見ると、ジョーは液体の入った注射器を手に持ち、今にも自分に打ち込もうとしていた。

「……待って。何するの?」

「いいから、黙って。悪いようにはしないよ。君の心の奥が見たいだけさ。一緒に〝デザイア〟に会いに行こう」

ジョーが手にしていたのは自白剤だった。

ジョーは始めからマユミに目を付け、〝デザイア〟の情報を聞き出すためにここに連れ込んだのだった。

今までのSMプレイはただのおまけのようなものだった。

「……薬は嫌。お願い、やめて……」

「大丈夫。安心して……」

その時、ジョーはマユミの異変に気づいた。

マユミは急に意識を失ったのだ。

マユミだけではない。

ジョーは自分の頭の中もグラグラと揺れているような感覚に囚われた。

目の前が急に真っ暗になり、聴覚も遮断されたように音が聞こえなくなった。

何なんだこれは?

 ジョーは普段からドラッグを楽しむことがあったが、それは分量を考慮した上で後遺症や、禁断症状は出ない程度に抑えていた。

……おかしい。

ジョーの足は立っていられないほどグラグラになり、床の上に倒れこんだ。

次第に意識が薄れていく。

 その時、突然扉が開き、外からガスマスクをつけた小柄の人物が室内に入ってきた。

初めは幻覚かと思ったがそうではなかった。

ガスマスクの男は確かにジョーの秘密の部屋に鍵をこじ開け侵入していたのだ。

ここは様々な防犯システムが仕掛けてあるはずだった。

ガスマスクの男はそのシステムを破りここまで来たことになる。

薄れゆく意識の中でジョーはハッとなった。

まさか、こいつが〝デザイア〟なのか?

ジョーはなぜこの侵入してきた男がガスマスクをつけているのかが分かった。

こいつは室内にガスを流し込み、動きを封じ、女を取り返しにきたのか?

ということはこの女はやはり〝デザイア〟と繋がっていたのだ。

ジョーは勝利を確信し、床に倒れながら笑みを浮かべた。

意識を取り戻したら、再びマユミを使って〝デザイア〟を呼び寄せよう。

どんな手段を使っても……

そこでジョーは完全に意識を失った。

ベッドの上のマユミはすでに意識を失っていた。

ガスマスクの男はマユミが意識を失っていることを確認した。

「……まだお前を死なすわけにはいかないからな」

ガスマスクの男の正体は國無由自だった。

國無は床に落ちている鞭を手に取ると倒れているジョーを何度も打ちつけた。

「なかなかいい趣味だったが、相手が悪かったな。お前の欲望は嫌いじゃなかったがここまでだ」

そう言って國無は床に倒れているジョーの首に手を掛け、思いっきりひねり首をへし折った。

國無はジョーの背中から流れている血を手袋をした指で拭い取り、壁に血文字を書いた。

「皆殺しにしてやるぜ!〝デザイア〟」

滴る血でそう書き残すと國無はマユミを担ぎ上げ、ジョーの死体を残したまま地下室を後にした。

                                                【続く】

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