麻薬のような女 VOL 1
こんにちは。D・二プルです。
ついに私の処女作「麻薬のような女」がスタートします。
これは私にとってとても思い出に残る作品です。
昔、横浜に実在したある町を舞台に繰り広げるアクションありエロありなんでもアリの純愛ラブバイオレンス!
そこで一体何が起きたのか?
ネットでしか読めないこの壮大な物語のあなたは目撃者となる。
それではお楽しみ下さい。
D・二プル
「麻薬のような女」
この作品をすべての愛しい女たちに捧げる!
~人は皆娼婦である。それは私とて例外ではない~
親愛なる読者よ、この世で最も美しい話をお聞かせしよう。
ただし心して聞くがいい。
美しいものを求めれば必ず自らの手を汚さねばならない。
これはこの世でもっとも邪悪で欲望に満ち溢れた物語だ。
しかし、その先に真の美しい結末がある。
D・ニプル
プロローグ
遠い昔。
夏の日の午後、とある町で連続放火事件が発生した。
その時、たまたま買い物に出ていた母親が家に戻ると家が炎に包まれていた。
母親は家の中に残してきた赤ん坊がいると泣き叫び中に入ろうとしたが、近所の住民たちに「もう、手遅れだ」と止められてしまう。
やがて赤ん坊の泣き声が響き渡り、煙は充満し、炎は天高く舞い上がった。
ようやく消化された時には赤ん坊の泣き声はすでに消えていた。
やがて動かなくなった我が子の遺体を抱きかかえ母親はその場に泣き崩れた。
母親の職業は娼婦だった。
やがて母親はある町の片隅で死んだ。
娼婦仲間や近所の住民たちは母親と亡くなった赤ん坊を悔やみ町の片隅に小さな地蔵を建てた。
そしてその地蔵は町の守り神と称えられ、娼婦たちはそれぞれの国の習慣に従って地蔵に供え物をするようになった。
俺は作家になって日本に帰ってきた。
ずっと外国を旅して世界中の色々なものを見てきた。
俺は横浜の片隅にある何の変哲も無い住宅街を歩いていた。
今も昔の面影が少し残っていた。
川沿いの道から路地裏に入って行く。
懐かしさに混じって何か寂しい気持ちがこみ上げてくる。
この町は俺にとって特別な町だった。
この町での体験が無かったら俺は今とまったく違う人生を歩んでいたと思う。
ゆっくりと流れる川を見ながら俺は狭い路地を掻い潜りある場所に向かって歩いていた。
ここに来たのはある人との約束を果たす為だった。
俺の足元にそれは昔のままの姿で残っていた。
俺の目の前には小さな地蔵が立っていた。
名も無きこの地蔵に俺は手を合わせた。
町は変ってもこの地蔵がここにある事が俺はとても嬉しかった。
もう三十年前になるが、この町で俺はとてつもない経験をした。
それはとても綺麗な事ばかりではなかったが、まさに生きているという実感があった。
そう、欲望と純粋さを持て余していた若き日の思いが今にも蘇ってくる。
この物語は今は無き伝説のとある町の一角から始まる…。
第一章 ピンクの町
1
夏の日の夕方、俺は薄汚い駅のホームに降り立った。
俺はコインロッカーに荷物を放り込み、この町に足を踏み入れた。
小さな改札を出て道路を一本渡った俺は、川沿いをてくてくと歩いて行った。
川の反対側には小さなスナックが隙間なく並び、薄暗くなりかけた道端をピンク色の照明がやさしく照らしていた。
飲食店の前には各店先に一人ずつ薄着の女達が立っていて、道行く男達に声をかけていた。
女達のほとんどがアジア系外国人で、片言の日本語で客引きする一方で自分達の異国の言葉でおしゃべりに花を咲かせていた。
横浜の片隅に位置するこの街「黄金町」は知る人ぞ知る売春街だった。
俺の名は春日春道。
高校を卒業した俺は暇を持て余していた。
大学に進学する気も就職する気も無かった俺は、日雇いの肉体労働をする以外とくにやりたい事もなく、ダラダラとマンネリ化した生活を送っていた。
そんな時、友達の北川大介が呼んでもいないのに家にやってきた。
北川は俺に彼女が出来た事を自慢しにやってきた。
ずっと彼女がいなかった俺と北川はどっちが先に女を作るかを密かに張り合っていた。
俺は北川に彼女ができた事にショックを受けた。
俺は自分がモテナイ事は充分知っていたが、北川は俺以上に冴えない男で女ができる確率はゼロだと思っていた。
話を聞いてみると北川は出会い系サイトで彼女と知り合ったそうだ。
北川は腹いっぱいに自慢話をして帰っていった。
北川が帰った後も俺はずっとイラついていた。
このまま俺はヤラハタ(ヤらずに二十歳)を迎えつまらない大人になっていくのか?
そんな事を考えているうちに無性に腹が立ってきた。
自分の部屋でゴロゴロしていた俺に母親は小言を浴びせてくる。
「なぜ進学しなかったのか?」
「働きもしないで家でダラダラしてるなら家の手伝いをしなさい!」
俺の中で蓄積していた何かがついに爆発した。
俺はバックに荷物を積め家を飛び出した。
俺は北川から横浜の売春街の話を聞いていた。
北川はその時「黄金町」で童貞を捨てたと俺に自慢した。
その時俺は風俗に行った北川をバカにしていたが、その時を境に俺と北川の間でモテナイ男の差が生じたような気がした。
俺は彼女を作るまで家には帰らない事を誓った。
川沿いの道を歩いている俺に多国籍の女達はこれ見よがしに甘い声で誘惑してきた。
「お兄さん、サービスするね…」。
「ワタシとちょっとお話する…」。
片言の日本語が飛び交う路地を俺が立ち止まらずに通り抜けると、女達は自分達の国の言葉で俺を苦笑しているように、聞きなれない言葉で俺をやり過ごした。
初めて体験した無国籍の空気に俺はすっかり緊張していた。
まだ一本目の路地を歩いただけだというのに俺は家に帰ろうかと思った。
財布の中の一万円が別の使い方を望んでいるように感じた。
しかし、次の瞬間北川や親の顔が頭をよぎり俺は思いとどまり町の中心へと入って行った。
俺はぎこちなく町を一周してみたがまだ相手の女を決めていなかった。綺麗な女はたくさんいたがどうも気分が乗らなかった。
初めて童貞を捧げる相手だと思うとどうしてもいろいろ考えてしまう。
そして過去の女にフラれた記憶が頭を過ぎった。
俺はますますやる気を無くし、それでも家に帰る事もできず、近くのコンビニで気分転換しようと決めた。
コンビニの前までやってきた時、横の公衆電話で電話を掛けている一人の日本人の女がいた。
その女を見た時、俺の体の中を稲妻が走った。
あれだけの娼婦を見ても気分が出なかった俺はこの女に一目惚れした。
特に獣のように純粋で獰猛な眼が気に入った。
その女は電話ごしの相手に向かって熱心に話し込んでいた。
俺はその場に立ち止まりしばらく女を見詰めていた。
女は俺の視線に気づきながらも平然と電話を続けていた。
すると、突然女は怒りだした。
受話器の向こうの相手に向かって罵声を飛ばし怒鳴り散らしている。
それは聞いていて気持ちがいいほどきっぷのいい怒鳴りっぷりに俺は度肝を抜かれた。
女は受話器を叩きつけ一方的に切るとコンビニに入っていった。
俺は彼女に吸い寄せられるように続いてコンビニに入っていった。
コンビニに入った俺はさりげなく女を目で追った。
女は当たり前のようにそこにいた。
のんびりと店内を歩き回りミネラルウォーターを手に取るとレジに向かった。
女は水を買って店を出ると入り口のすぐ近くでペットボトルの蓋を開け水を音を立てて飲みだした。
その気持ちの良いほどの豪快さに俺はますます彼女に惹かれていった。
その時、呆然と彼女を見詰めている俺の方にその女が近づいてきた。
あまりに突然の事に俺はその場に立ち尽くしていた。
すると女は突然俺の足元に座り込んだ。
俺が下を見ると、俺の足元で蟷螂が死んでいた。
「かわいそう。埋めに行こう」
そういうと女は蟷螂の死骸を拾い上げ歩き始めた。
ぼんやりと彼女に吸い寄せられるように俺は女の後について行った。
女は小さな地蔵の前に来るとその横の土に蟷螂の死骸を埋め、持っていたペットボトルの水を全部掛けて手を合わせた。
俺はあっけにとられた。
今の日本にこんな女がいるなんて思わなかった。
彼女はこれまで俺が見てきた女達が忘れかけているとても大切な何かを持っているような気がした。
気がつくと俺も女と一緒に手を合わせていた。
「…良かった」
そう言うと彼女はフラフラと売春街の方に歩いていった。
俺はこの瞬間、この女を初めての相手にしたいと思った。
俺は密かに彼女の後を追った。
ここで彼女を見失ったら一生後悔する気がした。
彼女は売春街の真ん中を堂々と歩いて行くとカーテンが閉まっている一軒の店の前で立ち止まった。
そしてポケットから鍵を取り出すとドアの中へ消えていった。
俺はしばらく少しは慣れた所でタバコを吸いながら彼女の様子を伺っていた。
周りの店の娼婦たちが俺に話し掛けてきたが、愛想笑を浮かべながらも視線は彼女が入った店から外さなかった。
しばらくするとカーテンが開き、上着を脱いでキャミソール姿の彼女がひょっこりと顔を出した。
彼女は店先に手書きで書かれた「日本人の店」という張り紙を貼り路地を通る男達に声をかけ始めた。
俺の中で衝撃が走った。
彼女はこの町の娼婦だった。
一時的にショックを受けた俺だったが、すぐに別の考えが頭を過ぎった。ここは売春街で彼女とはそこで出会った。
この展開で彼女が娼婦でも何の問題も無い。
むしろ自分が目をつけた女が金を払えばヤラしてくれるとはこんなおいしい展開はそうないもんだ。
俺は自分の心の整理をしてゆっくりと彼女の方に近づいていった。
2
俺は正直緊張していた。
目の前にいる女に何を話していいのか頭の中は真っ白になっていた。
すると女の方から俺に話し掛けてきた。
「あんた、さっきの…今日の相手決まった?」
「…いや、まだ決めてない」
「あなた今日が初めて?」
「……」
俺は黙って頷くことしかできなかった。
「あたしじゃダメ?」
「…いいよ」
「じゃあ、決まり」
女はニッコリと微笑み俺を店の中に連れ込むとドアを閉めカーテンを閉めた。
その場に立ち尽くしている俺を前に女は手際よく俺を二階に連れて行った。
二階の一つの部屋に通されるとそこは別世界だった。
四畳半ほどの小さな畳張りの部屋はピンクの照明に照らされ特殊な世界を作り出していた。
部屋には独特の空気が漂っていて、これから始まるコトをうまく演出しているようだった。
女は俺に金を要求してきた。
俺が値段を聞くと女は「一万円」と言った。
俺は北川から話を聞いていて「黄金町」の値段を知っていた。
この部屋に入るまで俺はいくらに値切れるか考えていた。
しかし、俺は女に言われるままに一万円を支払っていた。
別に一万円が高いと思わなかった。
むしろ一万円でこの女とできると思うといても立ってもいられなかった。女は一万円を鞄の中にしまうと服を脱ぎ始めた。
それはいかにも慣れた手つきでみるみるうちに女は下着姿になっていた。
その場に立ち尽くして着替えを見ていた俺に女は「あなたも脱いで…」と呟いた。
俺は女に暗示をかけられたように女の言葉に従って服を脱いだ。
そして俺は全裸になった。
見ると目の前には全裸の女が立っていた。
女の手首には無数の傷があったがこの時の俺は気づきもしなかった。
女は俺に仰向けに寝るように指示した。
すでに俺の息子はガチガチに膨れ上がり破裂寸前だった。
女は膝をつき俺の息子をやさしく口に含むとゆっくりと嘗め回した。
初めて体験するその感触は俺を天国の入り口へと招待してくれた。
俺は空いている手で女の乳房にやさしく触れた。
女の体温が指先から脳へと伝わってきて天国の扉を開放させた。
女はどこからかゴムを取り出すと俺の膨れ上がった息子に被せた。
そしてみずから俺の息子に挿入し激しく腰をピストンさせ始めた。
ものの数秒で俺は天国の打ち上げ花火を高々と上げた。
その直後、タイマーのアラームが鳴った。
女はゆっくりと俺から離れ服を着始めた。
そして俺にも服を着るように指示した。
まだ頭の中は真っ白だったが、俺の心は完全に冷め切っていた。
俺は女に名前を聞いた。
女は面倒くさそうに「イラ」と答えた。
「イラ?本名は?」
「…彩。伊良部彩。またよろしくね」
イラと一緒に階段を下りた時も頭の中はまだぼんやりとしていた。
イラはカーテンとドアを開けるとやさしく俺を送り出した。
俺はイラに手を振り路地を歩き出していた。
こうして俺は童貞を捨てた。
しかし、どうもすっきりしない。
いや、むしろすっきりしすぎていた。
本当ならコトが終わった後俺は彼女と語り合いたかった。
酒を飲み今後の予定を決めてから別れたかった。
しかし、現実は事後のタバコも無くあっけなく終了してしまった。
これが夢に見たSEXだったのか。
そこに愛はなかった。
今のはSEXじゃない。
ただのFUCKだ―
俺は自分を慰めながら駅の方へと歩いていった。
【続く】
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